大山慶のアニメーション@アップリンクファクトリー

 もうひと月前になりますか。
 10/23にアップリンクファクトリーでのイベント「大山慶のアニメーション」に参加。
 

 http://www.uplink.co.jp/factory/log/003222.php

 今回は2000年から2008年に制作された8作品が上映された。
 大山さんは東京造形大出身・現在31歳のアニメーション作家。
 卒業制作の「診療室」が学生CGコンテスト最優秀賞受賞したのをはじめとして、その個性を認められ、カンヌ映画祭の監督週間で上映されるなど海外からも注目を集めていらっしゃる。

 絵柄は、一見グロテスク。目鼻が異様に小さかったり肥満だったり手足が短かったり歯並びが悪かったり、極端にデフォルメされた登場人物たち。最初は
 「うわ…」
と思うが、嫌悪は不思議と広がらず、見ていくうちに逆に
 「まあ、平均的に、一般の人間ってそんなバービーみたいじゃないし、よくみたらこんな感じよね」
と、冷静に思わせれる、その正直な不完全さが憎めず、次第にかわいく見えてくる不思議な造形。
 ぷるぷるとブレて凹凸を感じさせる不思議な色彩は、作家本人が自分の皮膚をスキャンしたものをコラージュしているという。

 画面は主に正面を切って、主人公の目から見つめられたようなアングル。
 思春期の視点で、自分と対峙する世界をじっと見つめ、観察するような。動きに派手さはないが、前述のように色彩のブレや質感、なまめかしい細かな動作から、自分がその場にいるような感覚を呼び起こされる。自身の肉が裂け染み出る血、他者を傷つけた痛み・傷つけられた痛み、自分でどうすることもできず救えなかった他者の命への哀れみ、失われていく自分の命のはかなさ。描かれるのは、どちらかといえば前向きではない感情を喚起させるのだけど、決して暗くなく、正確にそれら痛みを受け止めた清々した潔さがある。
 

 …イベントの内容はまた次に改めます。