スイートアンドダーク

休みなのに珍しく早起きしたので家事を片付けたが。
 それまで晴れて日差し温かかったのに、洗濯物干し終えた途端一気に曇った。珍しく真面目にやったからかちくしょう。レインボーメイカーも止まってしまった。


※レインボーメイカーというのは、太陽電池でクリスタルを回し、部屋中に虹をかけてくれる癒しマシンです(写真左)。そして虹といっても、虹の切れはしみたいなのが、部屋中をくるくる駆け回る、という感じです(写真右)。写真じゃ一個しかとれなかったけど、ミラーボールの光が虹色になったような様子になる、とご想像下さい。



 そんな素敵な情景の中、気持ち上向きで午後も過ごそうと思っていたのに。

 灰色の空の下、やる気をなくしたので、カーペンターズの「スーパースター」をソニックユースがカバーしているやつを繰り返しきいています。

 カーペンターズの原曲は、ミュージシャンと恋に落ちたものの、彼は後スーパースターになってしまい、取り残された彼女が
「今はあなたのギターの音色をラジオから聞くだけ、でも今でもあなたに戻ってきてほしいいわ」
と思いつめている歌詞、カレンが澄んだ声でまっすぐに歌うほど余計に悲しくなるという。さらにサビでは枯れ葉を吹きちらすようにホーンが高らかに鳴らされ哀愁を誘い、ドラマチックに仕立てられております。が、ソニックユースバージョンは、

 あえぐボーカル、うっすらとかきならされる憂鬱なギターノイズ、テンポは泥の中でまどろんでいるかのよう。ああ、救いようが無い。けれど、あの「ベイビーベイビー」の高ぶるサビを迎えれば、なんとか思いのたけが晴らされるのでは?などと、聞くほうは考えてしまいますが、まさにサビに入る直前でちょうど「ドーン」と叩かれ出す重くピアノに、そんな期待は断絶されます。
「この先いいことなんかないよ」
という死刑宣告のような暗い響き、あとはもう、聞き手もあきらめて底なし沼に身をまかせればよい・・・。かっこいいのですが、ダークサイドを残酷に際立たせたアレンジで、以下思わず妄想してしまうのですよ。

「アーティスト思考のアイドル歌手(歌詞から考えるとギターが弾けなければいけないので)のファンだった男が、本気になってしまって病んで、でもストーカーになる度胸もないからせめて妄想の中で『本当に付き合っている』と思いこんでたんだけど、そのこが結婚しちゃったとか落ち目になって脱いだとかAV出たとか自殺しちゃったとか黒いスキャンダルで現実叩き付けられて生きる希望失なって仕事も無断欠勤してクビになって飲食も忘れてヤクに溺れて、オーバードーズでピクピクしながら彼女の写真抱いたまま孤独死する寸前」

の曲だろうこれは、と。聞けば聞くほど、見えくる情景がより仔細になっていくのです。というわけで、わたしの中でこの男は永遠に死にかけで、白眼ムキッぱなしなのです。ドンマイ。

妄想おわり。
しかし本当に晴れない。そしてほんとにディープなファンにとっては何が一番の裏切りとなるのだろう・・・魂売っちゃう行為か、存在自体うしなわれてしまうことなのか。