かんそう いろいろ

<21日>
 寺山修二作・白井晃演出「中国の不思議な役人」鑑賞@パルコ劇場
 脚本を高校生の頃読んだだけで32年前の初演はしらないのですが・・・
 平幹二朗秋山菜津子、エミ・エレオノーラ出演と見て。

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 <あらすじ>
 時代は日中戦争初期・中国、にぎやかな通りを見物していた青年とその妹(花)。やがていかがわしい裏通りに迷い込み、青年が目を離した隙、妹は人買いに誘拐され売春宿に売り飛ばされてしまう。
 妹を探すうちに青年もまた、妖しい日本軍の女将校(秋山菜奈津子)に捕まり、「中国の役人を殺してくれたら妹を取り戻してやろう」と持ちかけられる。しかしその役人というのは、中国の歴史を司る不死身の宦官・人間性を喪失した王家の人形、彼が死ぬことができるのは「無垢な少女の腕の中」で愛に目覚め人間性を取り戻したときに限られていた。女将校は、青年の妹を餌に役人をおびき寄せる魂胆なのだった・・・
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 あらすじ、自分なりに納得できるよう、テーマと思われることに直結させた短絡的な要約してしまいましたが。
 脚本は散文的で、筋という筋ははっきり説明されませんもので。
 しかし音楽(三宅純)、振り付け(小野寺修二)にも重きをおいた舞台なので、言葉で筋を追うのも野暮なのでしょう。

 なぜ中国なのか、寺山の好きなアジアのいかがわしいものの極みとして、そこを舞台に選んだだけなのかと思いきや、劇中の
 「中国は新聞記事にされてから、その事件がおこるのだ」
というセリフで、舞台が中国である必要が分かった。同国の支配的な体制を揶揄しながら、何度転換期を迎えようと滅びることのない圧倒的な力を持つその「国」に、不死の憧れを見出していたのですね作者は。(この作品の執筆当時すでに発病していたそうな)。それが崩壊する瞬間と、無垢な少女が処女捨て女になる瞬間をダイナミックに交差させ、ドラマチックなラブロマンスとしたかったのね。狙いはわかるのだけど・・・その瞬間が分かりづらかったな・・・演出が
  「ワイザツにしようワイザツにしよう」
とするあまりなのか?常に役者を動ワチャワチャと動かしていたので、動静のメリハリに欠けていた。そのため、ここぞという見せ場も流れてしまっていた。
 (これまで見た寺山監督の映画や蜷川演出の舞台を、わたしがついつい比べてしまうせいか・・・)
 あと若い役者さん多くが、セリフ回しや発声が現代っ子的(アニメしゃべり)で、ずっと浮わついて聞こえてたせいもあるかも・・・。


  目当ての平さんは、豪華な宦官の衣装役がお似合いで。しかしケレンミ溢れていたのは登場シーンのみ、あとは年甲斐もなくかわいい少女に溺れてしまう、やさしいおっちゃんだった。
  ド迫力だったのは女将校役の秋山菜津子とエミ・エレオノーラ。
 エミさんは、狂っていろんなものを鋏で切り抜いてしまう癖を持つ「キリヌキの姐さん」という娼婦の役。仕舞には自分自身の影を切り抜いて風に吹き飛ばされ消えてしまう、という・・・。緑・黄色・紫のドメドメの衣装に金髪爆発パーマ、長い四肢をだらんだらんとさせて、あのハスキーボイスで、寺山の狂った詩の歌い上げる・・・あの舞台の住人だった。広い舞台だと尚映えますねえ。

 

 <22日 キングオブコント
 「東京03」の勝因・・・演技力も申し分無いけど、唯一物語(時間の経過)の流れで展開する脚本書けてて、他の組とは魅せかたが格段違っていたのでは。
 決勝は特にそれぞれの得意な「ウザすぎ・冷めすぎ・キレすぎ」キャラを思いっきり演じられるネタで、尚のこと面白かった。

 サンドウィッチマンは突っ込みもボケ入れる視点も鋭いけど、物語がつくれない。ひとつひとつボケ・突っ込みをかさねるだけなので、ずっと笑いの王手掛け続けられればよいけど、一旦イマイチなネタ挟んじゃうと一気に冷めてしまうのでもったいない構成だな、と思う。

 モンスターエンジンもすきだけど、長尺のコントに弱いような。
 自分たちの独特の空気は完成しているけど(いじめられてる人間の搾り出す卑しい意地を描くのが上手いよね、同情の余地ないくらいのさ)、それを知った上で、あぐらかいてるというか・・・「ああああ〜」とか「うう〜」とかでごまかさないで、セリフをあと少し丁寧に作って、最後に1押し2押ししてほしい。。。

 <全体的な印象>
 セリフつけて役振ってしゃべってはいるけど
 「こんな勘違い、あるある」
 「こんなキャラの人、いるいる」
という、コントの面した”あるあるネタ”が多い気がした。
 サンドウィッチマンは話術で面白く見せられるかもしれないが、ひたすらボケ・ツッコミを重ねてるだけのネタが多くて、展開が乏しい、というか。誰かそこ指摘してあげる人はいないのかな、と思った。